ボストンテリアのスタンダード

Boston Terrier standard

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ボストン・テリア・スタンダード

はじめに

Introduction

スクエアな頭部と顎という独特の特徴と対をなす、すっきりとした短い胴と「主体色とホワイト・マーキング」の釣り合った組み合わせを持つ犬、愛想がよく活発で優れた気質と高い知能を持ち合わせる。それゆえに無比の伴侶とされる魅力的な犬がアメリカ原産のボストン・テリアである。

ボストン・テリアのスタンダードを広く理解していただき、より多くの健康で優良なボストン・テリアが育っていくことを切に願います。ブリーダさんだけではなく、ペットを飼うオーナーとして最低限の知識を学んでおいてください。

このページの制作にあたりThe BOSTON TERRIER CLUB OF AMERICAのA PICTORIAL AND ILLUSTRATED STANDARDの挿絵を使用しています。2次利用はご注意下さい。

全体的外観

General Appearance

なめらかな短毛に短い頭部のコンパクトな体形、短尾でバランスがよく、毛色はブリンドル・暗褐色・ブラックにホワイトマーキングが目立つ。頭部は犬のサイズと釣り合いがとれており、表情は知能が高いことを伺わせるに十分な魅力を持っています。活発で極めて利口な犬です。

どちらかといえば背は低いですが、がっちりとして四肢は強く良い角度をしています。尾は短くてプロポーションを悪く見せるようなものはなにもない。優れたスタイルと上品な身のこなしで、決断力、忍耐力、行動力などを印象づけさせます。

ボストンテリア・スタンダード1

プロポーション・サイズ

Proportion Size

脚の長さは胴の長さとバランスがとれており、そこでボストン・テリアのスクエアなプロポーションが表現されています。ボストン・テリアはたくましい犬であり、きゃしゃに見えたり粗野に見えたりしてはないけません。

骨量と筋肉は体重と構造に比例して釣り合っていることが大切で、雄雌の比較では雌の形態に多少の優雅さが感じられるのが唯一の違いとなっています。

サイズ:クラス分け

  • 15ポンド(約6.8kg)未満
  • 15~20ポンド(約6.8~9.1kg)
  • 20~25ポンド(約9.1kg~11.3kg)
ボストン・テリアのプロポーション

毛色の基礎知識

Color Coat

ブルドッグを先祖とするボストン・テリアには本来ブラックの毛色は存在しなかったといわれていますが、小型化をするためにマンチェスターテリアを異種交配した際にブラックという毛色の固体が稀に出るようになりました。

しかし「犬のレベルが同じであるならばブリンドルの方が優位である。」とアメリカナショナルクラブのスタンダードに明記されているように、ボストンは本来”ブリンドル&ホワイト”が基本です。ただ、ブリンドルでも色調によって細かく分類されていることには注意をしてください。

毛色と模様

Color and Marking

短毛で光沢があり手触りはとてもなめらかで繊細です。毛色はブリンドル・暗褐色、またはブラックでホワイト・マーキングが必要となります。

毛色はブリンドルが基本ですので、他の条件が同じならばブリンドルが上位に位置することになります。また暗褐色の場合は、日光や明るい照明の中で見た場合に赤みがかかっているように見え違いがはっきり分かりますが、そうでない場合では黒くみえることもありますので注意をしてください。

ボストン・テリアの毛色

必須マーキング(1)

Markings

必要な模様は白いマズル・バンド、目の間から頭部までのホワイト・ブレーズ、白い前胸となります。

望ましい模様となるものは白いマズル・バンド、目の間から頭上までのハッキリとしたホワイト・ブレーズ、白いカラー、白い前胸、前肢の下部と後肢の飛節下が部分的にか全体的に白いこととなります。

また頭部か胴が大幅に白いボストン・テリアは、その欠点を打ち消すほどに十分な長所をほかで示すことが必要になります。

ボストン・テリアの顔

必須マーキング(2)

Markings2

一方、必要なホワイト・マーキングがなくブラック、ブリンドル、暗褐色の毛色、グレイとレバーの単色、などは失格です。

また、犬種の見本となるような犬ならば「望ましい模様」を持たないからといって減点されるべきものではありません。必要な模様と望ましい模様を混同しないように注意をしてください。

基本の配色は、ブラックブリンドル&ホワイト、ブリンドル&ホワイト、シールブリンドル&ホワイト、マホガニーブリンドル&ホワイト、ゴールドブリンドル&ホワイト、ブラック&ホワイトとなっています。

ボストン・テリアの模様

ボストン・テリアの骨格

Structure
ボストン・テリアの骨格

ボストン・テリアの頭部

Head

頭部は両目の端を含んだ幅で正四角に集約され頭頂は平らで、過度なシワはなく、頬も張り出さず、すっきりとして直線的でまとまっています。目の上は隆起し目と目の間ははっきりと窪んでおり両目は広く離れて大きくて丸く、瞳の色は暗色です。正面から見たときに目尻は頬と一直線上にあります。

理想的な表情としては、知能の高さを示すように用心深くも見え且つたいへん優しげな奥深さを示します。

ボストン・テリアの頭部

ボストン・テリアの耳

Ears

耳は小さく、まっすぐに立つ。自然のままか、断耳して頭の形にあわせる。頭蓋の角にできるだけ広く位置している。頭の大きさと釣り合いがとれていない耳ではいけない。

頭部の正四角形に直角に位置するように耳が置かれているものが理想であり、耳の向きは正面でも外向きでも良いとされています。

写真の下左は、耳が大きすぎ(長すぎ)ます。写真の下右は耳が左右に広がりすぎています。写真の上下を比較するだけでも上2つの理想系はより賢く知性を感じさせる顔つきとなっているのが分かると思います。

ボストン・テリアの耳

ボストン・テリアの鼻口部

Muzzle

正面から見た鼻口部は頭部の正四角の三分の一程度の横幅におさまり、四角くて広く幅があり、頭蓋骨と釣り合いがとれています。鼻部は、しわはなく、横幅よりも短い長さであり、鼻上(STOP)は頭頂部(SKULL)と平行になっています。

右写真の赤丸が理想的な鼻口部であり、右写真の下2つのように長すぎても短すぎてもいけません。

ボストン・テリアの頭部 ボストン・テリアの鼻

ボストン・テリアの歯

Teeth

歯の形状は短く揃っており、噛みあわせは均等か、わずかに下の歯が出ている形となります。歯は生後1年には生えそろい42本の歯をもちます。歯は遺伝によるところが大きい?と考えられます。

(写真)左2つが理想的であり、上の歯が出ている右はよくない形状となります。

ボストン・テリアの歯

ボストン・テリアの頬脣顎

Chops

顎は奥行きがあり、唇は垂れすぎることはなく、口を閉じたときに歯をほどよく隠しきります。

写真の右側が理想であり、左側のように垂れすぎているものはよくありません。

理想形は若々しく顔全体をきりりと引き締めていて、左右のバランスもありゆがんではいません。口を閉じたときに、舌が見えているものや、歯が出てしまっているものは良くはなく、ほどよく完全に閉じ且つ垂れすぎず、となっています。

ボストン・テリアの頬

ボストン・テリアの鼻

Nose

鼻は黒く幅広く、正面から見たときには鼻の穴がほどよく確認でき、鼻の中心からくっきりとした鼻中隔の線が見えます。

鼻の色がまだらであったり、色が薄いものは良くありません。また、鼻の穴も小さく狭まっている場合や過度に広すぎるものも良くはなく、理想は右写真のように黒く幅広で整然として全体のバランスがあるものとなります。

ボストン・テリアの鼻

ボストン・テリアの目

Eyes

目は頭部の正四角の両端に位置していて、瞳は黒くて大きいです。

写真はすべてが失格であり、瞳が小さく白目や瞬膜が見えすぎる目、瞳が左右に離れてしまっている、瞳の色が薄い、青または青みがかった瞳になってしまっている、などです。瞳は大きくてしっかりと黒いことが理想となっています。

ボストン・テリアの目

首・トップライン・胴

Neck Topline and Body

首は全体的に見てバランスがとれたイメージを与える長さでなければならない。わずかにアーチ状で、頭を形良く支え、肩にすっきりと収まる。背はスクエアな胴にあわせて短く、トップラインは水平で、尻はわずかに尾の付け根部分で曲線を描く。肋骨はよく張って腰部につながる。胴は短い。

写真の首の長さは異なり、左がバランスの良いネックラインで、右下は短い。

ボストン・テリアの首

トップラインの違い

Top line

写真はトップラインの様子、背中の線の違いを示しており、左端が理想形で地面と水平にあり尾の付け根から緩やかにカーブを描いている、中央・右端は悪い例となっている。

ボストン・テリアの背中

ボストン・テリアの前躯

Front Angulation

肩はなだらかに後方に傾いているので、スマートな動きが可能となる。肘は内転も外転もしてない。前肢はほどよく離れて付き、肩甲骨の上端と一直線上にある。(写真目印のように肩から垂直に下ろした位置に足がある。これが前後してはいけない。)

前肢の骨は真っ直ぐで、パスターンは短く強い。狼爪は取り除く。足は小さく丸く引き締まり、内側にも外側にも曲がらず、アーチ状の指と短い爪がある。骨量が不足していたり、偏平足になっている場合はよくない。写真赤丸のように人がつま先立ちをしているような状態をキープできる立ち姿でなければいけない。

ボストン・テリアの前躯

ボストン・テリアの正面

Fronts

写真は正面からみたときの足の位置と長さを示しています。

写真左半分:脚の位置:中央が理想で前脚がほどよく離れてまっすぐに伸びています。左は狭すぎ、右は広すぎます。

写真右半分:脚の長さ:中央が理想で、左は足が短すぎ、右は足が長すぎです。

ボストン・テリアの正面

ボストン・テリアの後躯

Rear Angulation

腿は強く筋肉質で、スタイフルの湾曲は十分である。飛節から足までは短く、内側にも外側にも曲がらず、飛節関節ははっきりわかる。足は小さく引き締まり、短い爪がある。 スタイフルが真っ直ぐなものはよくない。

写真のように手前は理想的な湾曲があるのに対して、背後はまっすぐに伸びきっている。

ボストン・テリアの後躯

ボストン・テリアの背後

Rears

写真左端が理想となる。右側3つは左から、後ろ足のつき方が狭すぎる、大きく広がりすぎている、付け根で広がり内側に曲がり足先が広がっているなどの悪い例となる。

ボストン・テリアの背後

ボストン・テリアの尾

Tail

尾付きは低く、短く、先細りでまっすぐか、またはらせん状で、水平線より高く保持してはならない。(注=好まれる尾は付け根から飛節までの長さの1/4をこえない。)断尾や派手に持ち上がった尾は失格となる。

写真手前は理想的な形状、後方は尾が派手に持ち上がってしまっている。

ボストン・テリアの尾

ボストン・テリアの歩様

Gait

確かな足取りで真っ直ぐ歩く。前肢と後肢はリズミカルに線上をまっすぐ動く。品と力がある歩き方である。写真左のように足先までを使いリズミカルに且つ直線的に歩行する姿が美しく且つ1歩1歩が大変に力強く歩く。

歩様の失格は、ローリング、パドリング、ウェービング、ハックニー歩様などとなる。写真右の3つは、左から順に、ハックニー足先が折れ曲がってしまう歩き方、中央が重大な欠点ととなる前肢または後肢が交差するクロッシング、右下隅が船をこぐパドリングとなり、いずれもよくない歩き方となる。

ボストン・テリアの歩様 ボストン・テリア